ちびっこうべ

「CREATIVE WORKSHOP ちびっこうべ」は、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)が、子どもの創造性を育むことを目的として、2012年から2年に1度、小学3年生から中学3年生までを対象に開催している体験プログラムです。ちびっこうべでは、KIITOにあるホールを中心とした約1,500㎡のエリアに、子どもだけが入ることができる夢のまちが10月にオープンします。そして、それを目指して、夏休みからプロの技や知識に触れながら、神戸の子どもたちとクリエイターが一緒になって様々なプログラムを進めていきます。

その中心となる、シェフ・建築家・デザイナーチームに分かれて、15店の食べ物屋さんをつくる「ユメミセプログラム」。フォーク・クリエイティブは2014年・2016年とデザイナーチーム1班(5名から8名程度)を担当しました。

Process

デザイナーチームが取り組むのは、お店のコンセプトに合った「ロゴマーク」と「看板(もしくは販促ツール)」作り。それぞれ2日間のワークショップで完成させる必要があります。「コンセプト」という言葉すら知らない子ども達にとっては大変な作業です。

大人はどう関わるべきか(ワークショップの考え方)

「ちびっこうべ」では教える側にマニュアルは存在せず「ちびっこうべ憲章」という考え方に沿って進めていきます。その解釈はミーティング等で一定の共有がされているものの、実際の取り組み方はクリエイター個人に大きく委ねられています。

ちびっこうべ憲章
ちびっこうべ憲章

フォーク・クリエイティブでは「ちびっこうべ憲章」を踏まえて、子どもの自発的な発想や行動を第一に大切に考えています。

具体的には子ども達の意見を先導して集約したり、制作物に対して修正やレタッチなど手を入れることはしません。意見をまとめやすくするための手法(たとえば付箋を使ったKJ法)やイメージに近い絵を描くための道具や素材の提案は積極的に行います。知っていなければできない事をサポートします。

実際の制作過程(ちびっこうべ2016「ユメミセ・ワークショップ」)

2016年の「ちびっこうべ」で担当したのはジャムとパンケーキの店。子ども達にも大変わかりやすい料理で2つの食感を大事にした「パティスリー・フワトロ」という店名に決定。

ロゴ(マーク作り)では子どもたちそれぞれの「ふわとろ」を描き出してもらい、着目点や表現の方向性で幾つかのグループに分け・・・お店のマークとして相応しい方向性を絞り込んでいく方法で制作しました。そして、絞り込んだ後は選ばれたグループの子だけが書くのではなく、再び全員でその方向性に沿ってマークを描いてもらいました。

こういったワークショップでは最終的に「誰かの案」が選ばれることになりますが、できる限り全員のアイデア(もしくは仕事)が垣間見られるようなプロセスを大切にしました。

看板作りにおいても、デザイン画の再現より「ふわとろ」を重視して立体物に仕上げました。建築物との一体感を出すために同質の素材から選別しました。

最終的に決まったマーク
実際に制作した看板
実際に制作した看板

結果より過程を大切に。

フォーク・クリエイティブの取り組みとしては、子ども達がつくる成果物の最終的なクオリティはあまり重視していません。造形はブランド作りの大切な要素であることは間違いありません。しかし実際のお店で「格好良いから、優れた造形だから」という理由だけでお客さんが集まる人気店になる例は少ないでしょう。料理・接客・居心地といったサービスとつながる体験全体がお店の印象として積み重なっていくはずです。