場のヒント 特別編 文化施設のアーカイブ

神戸アートヴィレッジセンターで開催されたトークイベントへ。同所の指定管理者が今年度で変わってしまうことを受けて、文化施設・地域事業の残し方を考えるという趣旨のセッションでした。これからの地域作りに求められるアーカイブの形とは。

神戸アートヴィレッジセンターで開催されたトークイベントへ。同所の指定管理者が今年度で変わってしまうことを受けて、文化施設・地域事業の残し方を考えるという趣旨のセッションでした。

「記録が参照できなくなる=なかったことになる」

一般的に指定管理者が変わってしまうと、これまでの企画や取り組みと共にWebサイトなどの記録媒体もリセットされてしまう。これは施設自体は行政の所有であるもののWebサイトなどの制作物等は管理者団体に帰属するため、引き継ぎがなされるかどうかは両者次第となってしまうためだそうです。

今回のセッションでは、それぞれの専門分野で地域事業・まちづくりに関わる方々を迎えて、地域と関係性や取り組みをどのように記録し引き継いで行くかという話が展開されました。

残っていくためには、伝わらなければいけない

個々の内容については割愛しますが、「未来に伝達・活用するための記録」というアーカイブ本来の意味で記録されている事例は少なく、広報や業務のための記録にとどまっていました。(実際にアーキビストを専門にしている方から「業務記録などの記録とアーカイブは分けるべき」という指摘もありました。)

ただイベントや催し物の固定された情報と違い、地域事業やまちづくりで起こる人の関係性から緩やかに形づくられていく過程は、定型にまとめづらいのではないでしょうか。

また予算配分も潤沢ではなく収益性もあまり高くない地域事業において、発足段階から専門家に参加してもらうことが難しい事例が多く、まずは現場レベルで回せる記録のテクニック・意識を啓蒙する必要を強く感じました。

東灘区の広報誌「omusubi」

「地域福祉のアーカイブ」として広報誌をリニューアルした事例は、地域広報誌にありがちな文字ばかり埋め尽くされたものではなく、デザイナーが参加しコンセプト作りからニーズ調査を反映させ、伝わりやすい内容を追求した好例でした。

記録を記録として正しいフォーマットで残すことも必要な反面、「残っていくためには、伝わらなければいけない」というのも事実。特に地域事業においては生活者自身がプレイヤーとなり得るため、専門家でなくとも理解・活用できる形に落とし込む必要があります。こうした共有のための「柔らかいアーカイブ」が今後必要とされ、そこにデザイナーが参加できる余地があると思っています。

Webサイトはその性質上、記事を構造化して残しやすいメディアです。フォーク・クリエイティブが関わっているプロジェクトでも淡路島の家プロジェクトというものがあり、発足当初からブログ形式で進捗や主宰の思いを記録しています。こちらも「広報のための記録」念頭に制作されていますが、ストーリーづくりに加えて、将来同じ問題にチャレンジする方にとっての参考になる記事の残し方を今後の課題としたいと思いました。

Yusuke Nagashima

Contact

フォーク・クリエイティブは兵庫県西宮市を拠点に活動するデザイン事務所です。 企業やブランド、個人が抱く想いの向こうにひそむ課題へ向き合い、 柔軟な発想とコミュニケーションで、解決につながるプランをご提案します。

まずはお問い合わせください。
目的や課題に取り組むためのご相談を初回無料で承ります。

具体的なサービス内容と制作料金の目安については料金ページをご覧ください。